術後、時間が経過してから起こる左右のアンバランス
左右のバストのアンバランスは、術後すぐに起こる場合と、ある程度の時間が経ってから起こる場合があります。手術後すぐのケースはプロテーゼの位置が適切でなかったり、脂肪の注入量を誤ったりという技術的な原因がほとんどです。医師の技術が向上している現在では、こうしたトラブルはほとんどないと思われますが、決してゼロではありません。特に近年になって多く使われている「アシンメトリータイプ」というプロテーゼは要注意です。このタイプのプロテーゼは左右で形が違い、より自然なバストの形に近くなっていますが、それだけに正確な位置に挿入しないと左右のアンバランスが起こります。
もうひとつ、術後ある程度の時間が経過してから起こるアンバランスですが、これは手術法によって原因が異なります。まずはプロテーゼ法の場合から考えてみることにしましょう。
プロテーゼ法の豊胸術を受けたあとで「左右のバランスがおかしい」というトラブルが発生した場合、その多くがカプセル拘縮によるものです。これは他の項目でもお話ししたことですが、カプセル拘縮は必ずしも「左右同時に、同程度に起こる」とは限りません。これは患者様の体質もありますし、手術の状況、その後のケアの状況によって違ってきます。ですから左右どちらかのバストにだけカプセル拘縮が表れ、そのためにバストの形がいびつになってしまい、左右のアンバランスが発生してしまう…ということになるのです。
さらには何かの理由でプロテーゼの位置がズレてしまうと、見た目にはっきりと判るほどのアンバランスが起こります。前述したアシンメトリータイプのプロテーゼでは特に顕著に表れます。こうしたことも、覚えておいたほうが良いでしょう。
出産や加齢によるバストの変化
他の項目でもお話ししましたが、出産や加齢によるバストの変化によって、左右のバランスが崩れてしまうこともあります。女性のバストは妊娠・出産を経験すると乳腺が大きく発達し、赤ちゃんへの授乳に備えます。そして授乳期を終えると乳腺は萎縮し、それとともにバストもしぼんでいきます。ですがもちろん、元通りの形に戻るわけではありませんし、その程度も左右で微妙に違います。さらにバストにプロテーゼが入った状態でこうした変化が起こると、プロテーゼの位置がずれるなどして形が大きく変わり、左右のアンバランスが目立つことにつながります。
加齢によるバストの衰えも、アンバランスを起こす大きな要因です。老化の進行スピードは人それぞれに違い、年齢のうえでも大きな差があります。ですがこればかりは避けることができないものです。ですからバストもいつかは小さくなり、皮膚や筋肉の衰えとともに下垂していきます。そうした変化にプロテーゼはついていくことができません。そのため位置がズレたりしてバストが変形し、それが左右別々に起こるために形のアンバランスが発生する、というわけです。
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